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未来のオフロードモデル、Audi AI:TRAIL quattro

・アウトドア環境でエミッションフリーの走行を実現
・4基の電気モーターとquattroドライブ
・AIconファミリー:フランクフルトモーターショーに4台のコンセプトカーを一堂に展示

Audi AI:TRAIL quattro

2019年9月10日、インゴルシュタット/フランクフルト:アウディは、フランクフルトモーターショー(IAA)2019において、電気自動車のオフロードモデル、Audi AI:TRAIL quattroを発表します。Audi AI:TRAIL quattroは、オフロードにおいても持続可能なモビリティを追求する包括的なコンセプトカーです。これにより、以前に発表された3台のAIコンセプトカーとともに、未来のビジョンを語る四重奏が完成します。Audi AIcon、AI:ME、AI:RACE、そしてAI:TRAIL。異なるユースケースを想定して開発されたこれらの4台のコンセプトカーは、フランクフルトモーターショー2019のホール3に設けられたアウディ スタンドに展示される。

4シーターモデルのAudi AI:TRAIL quattroは、自動運転の能力と優れたオフロード性能を組み合わせています。キャビンを取り囲むガラスは地面の近くにまで達し、他に類を見ない視認性を車両の全周において確保しています。大容量バッテリーを搭載することにより、充電ステーションネットワークから外れた場所でも十分な航続距離を確保している。

このクルマの「TRAIL」という名称は、大自然を探求するイメージを連想させる。このクルマには、テレビを観たりビデオ会議に使用したりする大型スクリーンは搭載されていない。そのかわりに広大なガラスを通して、外の景色を堪能することができる。アウディのデザイン部門責任者のマーク リヒテは、このクルマのユースケースを次のように説明している。「AI:TRAILは、舗装路を外れた場所で革新的なドライビング体験を可能にする、エミッションフリーな電気駆動システムを搭載した、オフロードコンセプトカーです。一つの大きな塊から削り出したようなこのボディは、ガラス面積を最大限に確保して、周辺環境との濃密な一体感を実現しています。このクルマは、持続可能なモビリティをオンデマンドで供給できるコンセプトカーです」

アウディのビジョンを体現

Audi AI:TRAIL quattroは、2017年のフランクフルトモーターショーで発表されたAudi AIconから始まった、電気自動車のコンセプトカーシリーズの4番目のモデル。自動運転機能を中心に、長距離走行を念頭に置いたラグジュアリーカーのAudi AIconに続き、2018年には米国のペブルビーチでAudi PB18 e-tronが発表された。これは、モノポストと呼ばれるデザインを備えた、サーキット走行用のゼロエミッションカーだった。今年のフランクフルトモーターショーでは、これらの一連のクルマがファミリーであることを示す「AI」の文字が明確に示されることになる。Audi PB18 e-tronには、AI:RACEという新しい名称が与えられた。この電動スポーツカーの用途は、説明するまでもないだろう。

シリーズの3作目にあたるAudi AI:MEは、2019年の上海モーターショーに登場した。これは、世界のメガシティで使用することを想定した自動運転車。このクルマは、大都市につきものの渋滞も苦にならず、完璧なコネクティビティと幅広いインフォテインメントサービスが提供されるため、クルマの中で過ごす時間も有意義かつリラックスできるものになる。

そしてAudi AI:TRAILにより、アウディはオフロードの世界にもその先進的なビジョンを適用する。このクルマには、4台の電気モーター、アシスタンスおよび自動運転のためのシステム、そしてアウディを象徴するquattroフルタイム4輪駆動が搭載される。

AIcon、AI:ME、AI:RACE、AI:TRAILの共通点は、持続可能な駆動システムというコンセプト、はるか未来を連想させるボディラインだけではない。これらのクルマは、アウディが提案するまったく新しいモビリティコンセプトも体現している。既存のモデルと異なり、それらはさまざまな用途やシナリオの妥協点を探す必要がない。未来のクルマは、より具体的な用途を念頭にデザインすることが可能になるだろう。将来的にお客様は、アウディが提供する専用モデルを、ユーザーの好みや要件に合わせてオンデマンドの車両プールから発注することも、または期間を区切ってリースすることも、技術的には可能だろう。

そのプロセスにおいて、お客様は、現在プレミアムセグメントでは常識となっている高いレベルのカスタマイゼーションを行うことができる。そこでは、クルマの仕様やリース用の装備決定において、ユーザーのあらゆるデータや好みを考慮することができます。予約されるお客様は、希望のクルマを手に入れられるばかりでなく、できる限り個人の好みを反映した仕様も実現することができる。ボディカラー、インテリア、技術的なオプション機能などは、アプリを介してオンラインで、または「myAudi」システムに保存されているドライバーの詳細情報を使用して事前に設定することができる。ドライバーの好みの室内温度から、完璧なシートポジション、そして音楽ライブラリーに至るまで、ユーザーがクルマに乗り込んだときには、そのすべての環境が整っている。

このような設定は、使いやすいアプリを介して簡単に行うことができます。ここでは、予約したクルマ、ユーザーの個人的な好み、走行中に利用可能な数多くのオプションを組み合わせることができる。

一目で分かる高度なテクノロジー:エクステリア
全長4.15m、全幅2.15m、頑丈なボディを備えたAudi AI:TRAILは、舗装路を外れたときのポテンシャルを明確に表現している。1.67mの全高、850mmタイヤを装着する巨大な22インチホイールなどは、停車時にもこのクルマの高いオフロード性能を物語ります。最低地上高は34cmで、水深50cmの浅瀬でも走行可能。

起伏の激しい荒れた路面においても、Audi AI:TRAILは、フロアに一体化されたバッテリーユニットが地面と接触することなく、軽快に走行することができる。

多角形のモチーフが多用されたキャビンは、広大なガラスで囲まれ、最大4人が乗車することができる。中央部が稜線のように水平に張り出したサイドウィンドーは、AIconやAI:MEとの関連性を示すと同時に、このクルマの大きな特徴となっている。このラインは、ウエストラインとしても機能し、フロントからリヤに向かって延び、ボディ全体に一つの塊感を創出している。電気駆動システムは、それぞれのアクスルに直接設置され、バッテリーはフロアに一体化されているため、モーターやバッテリー用の補助コンポーネントを収納するオーバーハング部分も不要になる。フランクフルトモーターショー2019に展示されるAIカルテットでは、ワンボックスデザインこそが、電気自動車の時代におけるデザインの絶対的な基礎となりつつあることも示している。 当然のことながら、軽量化と最高のボディ剛性は、とくにオフロードモデルにとっては重要な技術的目標となっている。Audi AI:TRAILのボディは、ハイテクスチール、アルミウム、カーボンファイバーを適所に使用しています。その結果、大容量バッテリーを搭載しているにもかかわらず、車重はわずか1,750kgに抑えられる。

Audi AI:TRAIL quattro

Audi AI:TRAILでは、「形態は機能に従う」というコンセプトが採用されています。稜線をつけたようなサイドウィンドーの形状は、もっともスペースが必要となる乗員の肩や肘まわりに余裕を生み出す。サイドウィンドーが下まで拡大されていることで、乗員は車内から地面を見下ろすこともでき、大きな解放感がもたらされている。このサイドウィンドーの目標は、乗員に素晴らしい眺めを提供し、車内と車外の世界という区別を取り払うことにある。走行中、乗員の視線は前方だけに固定されているわけではない。周囲の開けたスペースのあらゆるものを自由に見ている。AI:TRAILの乗員は、リラックスして、静かな室内で、周囲の景色を楽しむことができるの。

ヘリコプターにも似た全周視界
フロントウィンドーは、ヘリコプターのコックピットのように車両のフロント部分を包み込んでいる。それによって、乗員は、前方および側方の道や風景を見通すことが可能。しかし、透明なガラスで覆われているのはフロントとサイドだけではない。フロントウィンドーの上端からリヤスポイラーに至るルーフのほぼ全面がガラス張りとなり、空と風景を眺めることができる。縦型のシングルフレームグリルですら8角形のガラスから作られており、アウディの4リングスエンブレムだけが通常の場所に配置されている。

フロントウィンドーもテールゲートも大きく開くため、広々とした収納スペースに簡単にアクセスすることができる。中には走行中の荷崩れを防止するストラップが設置されている。リヤバンパーには、ハイキングブーツ、登山用具、濡れた衣服などの汚れたアイテムを入れておくことができるコンパートメントも一体化されている。

観音開きのドアの下に設置されたサイドシルは、格納式のランニングボードとして機能します。ルーフラックの取り付けや取り外しは簡単。4本のホイール上には、大きなホイールウェルではなく、水平なフェンダーのみが設置されています。それにより、走行中のコックピットからもサスペンションの作動を確認することができる。

大型のサスペンションメンバー、コイルスプリングとアダプティブダンパーを備えたマクファーソン サスペンションストラットは、ともに高剛性で、優れた走行安定性を確保している。特殊なデザインが施されたホイールは、タイヤサイドウォールの高い位置までカバーしているため、一目見ただけで際立った印象を与える。その背後には、トレッドおよびボディに一体化された支持ストラットの構造がある。このデザインにより、タイヤ本体とサスペンションストラットを合わせて、さらに60mmのサスペンションストロークが確保されている。改善されたオフロード機能に加え、この追加のストロークは、乗員にさらなる快適性を提供する。

このタイヤはまた、センサー制御による可変空気圧調整機能も備えている。このシステムは、光学センサーとエレクトロニックスタビリティコントロール(ESC)を連携させ、路面状態を検知してタイヤの空気圧を最適に調整します。たとえば砂の上では、最高のトラクションを得るために、タイヤの空気圧を低下させて、タイヤと路面の接触面を増加させる。アスファルトに戻った場合は、走行安定性を高めるために、再び空気圧を上げる。

一切の無駄を排したスタイル:インテリア
広々として整然と配置されたAudi AI:TRAILのインテリアにおいて、目視可能なコントロールエレメントはごくわずかです。繊細なシートシェルから構成された2つのフロントシートは、4点式のシートベルトが装備されている。見た目も非常に快適です。インテリアの上部からシートクッションおよびダッシュボード下部までは、明るい色調でまとめられている。車内に座ると、外の世界に向けて開かれているという感覚をさらに強く感じるだろう。乗員の目はフロントおよびサイドの大きなガラスエリアに引き寄せられ、ほぼオールガラス製のルーフを通して空を見上げることができる。

ドライバーと車両をつなぐのは、ペダル、ステアリングホイール、いくつかのボタン、そして車両機能とナビゲーションの表示と操作用にステアリングコラムに接続されたスマートフォン。

ブルーとグレーの表面と素朴な色合いを持つ全体のカラーコンセプトは、車内と周囲の自然とのつながりを強調している。高い機能品質を暗示する、粗い表面処理による触感も、自然との一体感に寄与している。ラゲッジコンパートメントの滑らかなウールフェルトは、心地よいコントラストを演出している。以前に発表されたコンセプトカーと同じく、アウディのデザイナーは、Audi AI:TRAILでもリサイクル素材を活用している。カーペットはリサイクルレザーと再処理ウールを組み合わせたもので、いずれも持続可能で高い耐久性を持ち、音響および空調特性も優れている。

Audi AI:TRAIL quattro

フロントウィンドー下とシートの間には、収納スペースが設けられている。荷物はストラップによって固定することができる。フロントウィンドーは上部に跳ね上がるため、車両前方から荷物を積載することが可能。シートベルトリトラクターは、常に最適なシートベルトの張力を維持する。

後席には、ハンモックに似た斬新なデザインの2つのシートが設置されている。持ち運び可能な管状フレームに貼ったファブリックパネルは、快適な着座姿勢を実現し、バックレストが体を包み込んで横方向のサポートを提供する。これらのシートは、Audi AI:TRAILから外に持ち出して、アウトドアチェアとして利用することができるため、どこでもリラックスして過ごすことが可能。

空飛ぶ目
モビリティと多機能性は、Audi AI:TRAILのライトにも適用されています。Aピラーの下には、従来型のヘッドライトの代わりに、車外も車内も照らし出すことのできる内蔵型の光源が設置されている。使用されているLEDエレメントは調光も可能で、室内照明としてだけでなく、車両の進行方向も照らす。リヤライトもフロントと同様に作動する。リヤセクション全幅にわたって設置されているエレメントは、ラゲージコンパートメントを照明し、エクステリアにおいては特徴的なライトシグネチャーを創出する。

Audi AI:TRAILは、従来型のロー/ハイビームに替わり、一体型マトリクスLEDエレメントを搭載したローターレスの(プロペラのない)三角形電動ドローンが合計5台装備されている。これらは、車両のルーフラックまたはルーフに着地させ、非接触充電システムにドッキングさせることができる。

羽根なし扇風機と同じ原理で揚力を発生するこれらのドローンは、アウディ ライトパス ファインダーと呼ばれる。非常に軽量かつ省電力なこれらのドローンは、Audi AI:TRAILの前方を飛んで道路を照らし出すことができるため、従来型のヘッドライトが不要になっている。搭載したカメラの画像をWi-Fiで送信してディスプレイに表示することも可能なので、パスファインダーは「空飛ぶ目」としても使う事ができる。

Audi AI:TRAILが停車中、パスファインダーはルーフ上の定位置から周辺を照らし、クルマの横でピクニックを楽しむ場合などに活用することができる。乗員が車内で過ごしたい場合でも、透明なパノラマルーフを通してインテリアを照らすこともできる。

Audi AI:TRAILによって完全自動操縦されるこのドローンは、少なくとも2台セットで飛行する。飛行台数は、必要な照度や照射面積に合わせて最大5台にまで増すことができる。乗員は、スマートフォンの制御ソフトウェアを使用して、希望するシナリオを設定するだけ。

アウディ ライトコンパニオンも、同様に使いやすいアイテム。これは大型の懐中電灯のような形をした光源だが、非常に幅広い機能を特徴としている。通常はシートの前面に磁石で固定され、アンビエントライティングとして機能する。しかし、この機能が本当に便利なのは、車外に持ち出したとき。ハウジングに一体化された三脚を使って立てれば、キャンプファイヤーのライトにも、近場を照らすフラッドライトにもなる。ハウジングには前方をスキャンする複数台のカメラを装着でるので、風景を録画してソーシャルメディアに直接アップロードすることも可能。

しかし、アウディ ライトコンパニオンの機能は、それだけではない。Audi AI:TRAILのナビゲーションシステムと組み合わせると、ガイドとなるシンボルや手書き情報などをルートに照射することも可能なため、クルマを離れてハイキングするときも道に迷うことはなくなるだろう。

Audi AI:スマートモビリティへの道
Audi AI:MEとAudi AIcon。この2台のコンセプトカーの名称には、未来に向けた革新的なモビリティテクノロジーの総称としてアウディが使おうとしている「AI」の2文字が含まれている。そしていま、そのファミリーに新たなメンバーであるAudi AI:TRAILが加わる。Audi AIは今後、ドライバーを運転の緊張から解き放ち、車内で自由な時間を過ごせるようにするための様々なエレクトロニクスシステムを意味する言葉になるだろう。その目標のために、Audi AIは、人工知能やマシンラーニング(機械学習)分野の方法論やテクノロジーも取り入れていく。Audi AIはまた、自動運転を可能にするビークルインテリジェンスだけでなく、クルマを乗員のパートナーに変えるインタラクションインテリジェンスも組み合わせている。Audi AIのシステムは、自分で学んだり考えたりすることができ、また、状況を先読みすることで、各ユーザーのニーズにも的確に対応することができる。Audi AIにより、アウディブランドの未来のモデルは、高い知能と共感力を備えたクルマになるだろう。また、周囲の状況を常に考慮することによって、乗員のニーズにもこれまで以上に適切に対応することが可能になるだろう。

舗装道での自動運転、オフロードでのドライバーアシスタンス
鉄道輸送だけでなく航空分野においても長年にわたって研究されてきた技術、すなわち自動運転の実現が、自動車の分野でも大きな飛躍を遂げようとしている。Audi AI:TRAILは、レベル4の自動運転機能を備えている。これは、自動運転を促進するために標準化された国際規格において2番目に高いレベルです。レベル4のシステムでは、ドライバーによる運転の支援は必要ないが、その機能は高速道路や都市部の特別なインフラが整備された地域など、特定のエリアに限定されている。このような場所では、ドライバーは完全に運転操作をシステムに委ねることができる。しかし、クルマがその条件に適合した地域から離れた場合は、ドライバーが運転の責任を引き受けなければならない。そのため、Audi AI:TRAILには、従来のステアリングホイールとペダルが装備されている。

Audi AI:TRAIL quattro

オフロードを走行する場合には、どうしてもそれらが必要になる。デジタル地図には、未舗装のダートトラックや林道などが数多く収録されているが、路面は浸食されていることが多く、道幅や欠損の状態も大きく変化するので、信頼性のある自動運転を長期間にわたって続けられるという保証はない。オフロードにおけるレベル3の自動運転は例外的であり、可能であっても低速走行が前提となる。このような状況では、ドライバーが運転を引き継ぐまでに数秒間かかる。

オフロード走行の場合でも、AI:TRAILのドライバーはセンサー類やアシスタンスシステムのサポートを受けることができる。AI:TRAILには、ESP用の実証済みのセンサーシステムが搭載されている。これらのセンサーは、摩擦値、スリップ、縦方向と横方向の加速度などといったパラメーターをエレクトロニクスに提供して、走行安定性を最適化する。また、カメラやレーザーといった光学システムや超音波、レーダーなどのシステムを活用して路面状況や障害物を検出する数多くのセンサー類も設置されている。セントラルドライバーアシスタンスシステムは、それらが提供するデータに基づき、必要に応じてステアリングやブレーキングに介入して衝突を回避する。

車両エレクトロニクスもまた、悪路の走行をサポートする。車両が傾いていたり、きわめて急な斜面にさしかっていると仮定しよう。たとえば、地上高や進入角度が制御の限界を超えて、コントロールが困難になる可能性がある場合は、システムがドライバーに警告を発する。また、システムの制限内で車両を走行ラインに維持することもできる。これは、クルーズコントロールと連携して作動するレーンキープアシストの作動原理と同様に機能します。状況にもよるが、この機能はレベル2の自動運転を実現する。しかし、ドライバーはつねに周辺の状況に注意を払う必要がある。スマートアシスタンスシステムは効果的なサポートを提供し、安全性の向上に貢献し、ドライバーの負担を大幅に軽減する。

ゆっくりと走行して人生を楽しむ:駆動システム
Audi AI:TRAILの性能スペックは、従来の自動車のそれとは大きく異なっている。このクルマの開発目標は、息を呑むような加速やアウトバーンにおける高速クルージングなどには置かれなかった。

充電インフラが存在しない地域での使用を想定しているAudi AI:TRAILの特筆すべき点の1つは、その長い航続距離。リチウムイオンバッテリーを搭載するこのクルマの走行距離の目標値は、舗装路または整備されたオフロードにおいては400~500km(WLTPモード)。ほぼ常にホイールスリップが発生して、多くのエネルギーを消費してしまう荒れたオフロードにおいても、その目標値は250kmに設定されている。

上記の要件を満たすため、このクルマの舗装道における最高速度は130km/hに設定されている。エレクトロニクスが常にエネルギーフローと消費量を監視するため、オフロード走行時においても最高の効率性が達成される。

ハードウェアの面に目を向けると、Audi AI:TRAILは、各ホイールの近くに4基の電気モーターを搭載している。このオフロードモデルは、quattroの名に恥じない性能を備えている。その最大システム出力は320kWで、最大トルクは1,000Nm。しかし、一般的な走行時においては、そのパワーをフルに活用する場面は少なく、通常は一つのアクスルを駆動するだけで十分。

各ホイールは、それぞれがモーターによって駆動されるため、エネルギーを消費するディファレンシャルやロックは必要ない。最高速度が控えめに設定されているため、多段変速のトランスミッションを使用することなく、すべてのホイールに十分なトルクが供給されるように設計することができる。

車両エレクトロニクスは、走行安定性とトラクションを調整する。エネルギーを消費するスリップを回避できる場合は、影響を受けるホイールへのトルク供給を減らして対応する。ただし、グリップレベルが低い上り坂など、スリップが役立つ状況では、システムが自動的にスリップを許容する。Audi AI:TRAILは、大容量のリザーブ電力により、厳しい走行条件の区間であっても、自信をもって安全にゼロエミッションで走行することが可能。

 

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